2003-6-28

 




 
「量より質への転換」というエンゲルスの予見は、その真の内容が伝わっているのかは怪しいが、言葉だけは世間を転がっている。量がまかなわれれば、後は質が問題になるという意味で使われるこの言葉は、一面において真を指すが、「量」の問題が、こんなにも人を苦しめる問題になろうとは誰が予測し得たであろう。これは「AK47」




 映画は寅さんの脱線物語を筋としたが、人は美しい風景とともに喜怒哀楽を生きてきたし、これからも生きるべきだという強いメッセージとともに、死語となりゆく「風土」をも映画の中に焼き残した。
 数年前、富山の国道8号線を車で走っていて、首都圏の国道16号を走っているのではなかという錯覚をしたことがある。自動車ディーラーやファミリーレストラン、コンビニにガソリンスタンド、日本の風景は各地の持つ個性を失いどこも同じになって行く。

 





 私は密かにほとんどの人は3以上の数に弱いと疑っている。3以上の数に強くなるにはある程度の習熟を必要とする。義務教育が当たり前の世の中では実感から遠いかも知れぬが、小さな子供に算数を教えたことのある人は分かるかも知れない。おそらく一目で見て分かる数が3だからだろう。5以上あるものを数えているのは何も子供とは限らない。私は5を3と2



 旅先で思いがけずに素晴らしい「人風景」と出会うこともあるが、大方書割のごとく、そのところだけが切り取られたようになっているのだ。明治時代に創業された和菓子の老舗。風格のある店構え、洗いざらした暖簾もゆかしい。ところがその隣に眼を移せば、赤や緑が華々しい看板をもつ店舗。はたまたどの地でも同じデザインの○○ハウス─住宅展示場に居並ぶ、例の「低価格だがハイソな」建物─に寄り添われている。「人風景」の分離、分裂化が進行している。
copyright(C)2002-2005 RO FUNG SOK.All right reserved.